DX DX推進担当者がいない中小企業が、まず何から始めればいいか
「DXを進めたいが、専任の担当者を置く余裕がない」という中小企業は少なくありません。情報システム部門はおろか、パソコンに詳しい社員が一人もいないという会社も珍しくないでしょう。実は、専任担当者がいなくてもDXの第一歩は踏み出せます。本記事では、限られた人員体制でも無理なく着手できる、現実的な進め方を解説します。
「専任担当者がいない」ことは、DXが進まない理由にならない
中小企業の経営者と話していると、「DXを進めたいけれど、専任の担当者を置く余裕がない」という声をよく耳にします。たしかに大企業のように情報システム部門やDX推進室を新設するのは難しいかもしれません。人手不足の中で、既存業務と兼任させる余裕すらないという会社も多いはずです。しかし、DXの第一歩は必ずしも専任部署の設置から始まる必要はありません。むしろ重要なのは、「誰が音頭を取るか」よりも「何から手をつけるか」を明確にすることです。専任担当者が現れるのを待っている間にも、業務の非効率やそれによる見えないコストは静かに積み重なっていきます。担当者不在を理由に着手を先送りにするのではなく、今いる体制でできることから動き出す発想が求められます。実際、専任者を置かないまま、経営者主導で小さな改善を積み重ねている中小企業も少なくありません。
まずは「一番困っている業務」をひとつだけ選ぶ
担当者不在のままDXを進める場合、複数の業務を同時に改善しようとすると、あちこちで手が止まり、結局どれも中途半端に終わってしまいがちです。おすすめは、社内で最も負担が大きい業務をひとつだけ選び、そこに絞って着手することです。判断の目安として、次のような業務がないか確認してみてください。
- 特定の人しか対応できず、その人が休むと業務が止まってしまう
- 紙やExcelでの管理により、確認や集計のたびに時間がかかっている
- 同じ確認作業やミスの手直しが、毎月のように繰り返し発生している
このような業務は、多くの場合、経営者自身がすでに感覚として把握しているはずです。専任担当者がいなくても、経営者が「この業務から着手する」と決めるだけで、DXは十分に動き出せます。あれもこれもと手を広げるのではなく、対象をひとつに絞り込むことが、担当者不在という制約を乗り越える最初の一歩になります。選んだ業務については、現状のやり方を紙に書き出してみるだけでも、どこにムダがあるかが見えてくることがあります。
外部パートナーを「担当者の代わり」として活用する
社内に専任者を置けない場合、開発会社やシステム導入を支援する外部パートナーに、実質的な推進役の一部を担ってもらうという選択肢もあります。業務の要件整理や進捗管理を外部に任せることで、社内の負担を最小限に抑えながら着手することができます。担当者を新たに雇用・育成するよりも早く、動き出せるケースも少なくありません。ただし、すべてを丸投げにするのではなく、「何のためにこの改善をするのか」という目的意識だけは、経営者自身が握っておくことが重要です。目的が曖昧なまま外部パートナーに依頼すると、コストをかけたにもかかわらず現場の実態に合わないシステムができあがってしまうことが少なくないためです。定例の進捗確認だけでも経営者自身が関わり続けることで、こうしたズレは大きく防げます。
まとめ
専任のDX推進担当者がいなくても、経営者が課題をひとつ選び、外部の力を借りながら着手すれば、DXは十分に前進させることができます。完璧な体制が整うのを待つより、小さくても具体的な一歩を踏み出すことが、結果的には最短の近道になることも少なくありません。まずは自社で最も負担の大きい業務をひとつ思い浮かべ、そこから検討を始めてみてはいかがでしょうか。