DX 採用が難しい今、既存業務をどう効率化するか
有効求人倍率の高止まりが続き、求人を出しても思うように人材を採用できない中小企業が増えています。「人を増やして対応する」という発想だけに頼るのではなく、今いる人員で無理なく業務を回せる仕組みをつくることが、これからの経営には欠かせません。本記事では、採用が難しい時代に既存業務を効率化するための考え方と、経営者が押さえておきたい具体的な見直しポイントを整理します。
なぜ「採用」だけに頼れなくなっているのか
労働人口の減少により、中小企業が必要な人材を計画どおりに採用することは年々難しくなっています。求人を出しても応募が集まらない、採用してもすぐに離職してしまう、といった声も珍しくありません。人手不足の解決を採用活動の強化だけに頼ると、求人広告費や紹介料、教育にかかる時間といったコストばかりが積み重なり、根本的な解決にはつながりにくいのが実情です。採用がうまくいかない前提に立ち、限られた人員でも事業を回し続けられる体制を並行して整えていく視点が、これからの中小企業経営には求められています。
既存業務の効率化で見直すべき3つのポイント
限られた人員で業務を回すためには、まず「今の仕事のやり方」を見直すことが出発点になります。以下の観点で自社の業務を棚卸ししてみましょう。
- 属人化している業務はないか(特定の担当者にしかできない作業を洗い出す)
- 手作業や二重入力になっている業務はないか(紙やExcelへの転記、再入力の手間を確認する)
- 情報共有に時間がかかっていないか(電話や紙のやりとりが多い業務、確認のための待ち時間を確認する)
これらの業務は、情報をシステム上で一元管理することで、担当者本人が不在でも他のメンバーが対応できる状態に近づけることができます。特に属人化した業務は、その担当者が急に休んだり退職したりした際に業務全体が止まってしまうリスクが大きいため、優先的に見直す価値があります。棚卸しの際は、発生頻度が高い業務や、特定の担当者一人に負荷が集中している業務から着手すると、少ない工数で効果を実感しやすくなります。逆に、発生頻度が低く影響範囲も限られる業務まで一度に手を広げようとすると、かえって現場の負担が増え、取り組み自体が続かなくなる点にも注意が必要です。
小さな効率化の積み重ねが採用難への備えになる
業務効率化と聞くと、大掛かりなシステム導入を思い浮かべる経営者も多いのではないでしょうか。しかし実際には、日報や勤怠管理、受発注、顧客管理といった日常的に発生する業務の一部からデジタル化を始めるほうが現実的です。小さな改善であっても、担当者の作業負担が減り、他のメンバーでも対応できる業務が少しずつ増えていけば、採用がうまくいかない状況でも事業を安定して維持しやすくなります。全体を一度に変えようとせず、負担の大きい業務から段階的に着手し、効果を確認しながら次の業務へ広げていくことが、無理なく成果を積み上げるコツです。取り組みを進める中で、どの業務から着手すべきか、どこまでをシステム化しどこを人の判断に残すかといった部分は、自社だけで判断するのが難しいことも少なくありません。そうした場合は、業務システム開発の専門家に現状を整理してもらいながら進める方法もあります。第三者の視点を入れることで、思い込みで見落としていた非効率な業務や、優先して取り組むべき箇所が見えてくることもあります。
採用環境が厳しさを増す中、人を増やすことを前提にした経営から、今いる人員で無理なく業務を回せる体制づくりへと視点を転換することが重要になっています。まずは自社の業務の中で、属人化・手作業・情報共有という3つの観点から見直せる部分がないか、洗い出すことから始めてみてはいかがでしょうか。