DX 引き継ぎに3ヶ月かかる会社と、1週間で終わる会社の違い
「引き継ぎに3ヶ月かかった」という会社もあれば、「担当者が変わっても1週間で通常営業に戻った」という会社もあります。この差は、担当者個人の能力の差ではなく、業務が「仕組み」として残っているかどうかの差です。
なぜ引き継ぎに時間がかかるのか
引き継ぎに時間がかかる会社の多くは、業務の手順が担当者の頭の中にしか存在していません。マニュアルはあっても更新されておらず、実際の業務とは違う内容になっている、といったケースも珍しくありません。
結果として、後任者は前任者に都度質問しながら手探りで業務を覚えることになり、前任者も通常業務と並行して説明を続けるため、双方の負担が長期化します。取引先ごとの細かいルールや、例外対応の判断基準など、「言葉にしていなかった知識」が多いほど、引き継ぎ期間は伸びていきます。
「1週間で終わる会社」がやっていること
一方、引き継ぎが短く済む会社は、日々の業務の中で自然と記録が残る仕組みを持っています。特別な引き継ぎ資料を新たに作るのではなく、普段の業務システムに入力された情報そのものが引き継ぎ資料になっている状態です。
具体的には、次のような特徴があります。
- 受発注・進捗・顧客対応の履歴がシステム上に残り、誰でも経緯を追える
- 判断基準や例外対応のルールが、口頭ではなく画面上のメモやステータスとして残る
- 「誰が」「いつ」「何をしたか」が個人のメールやノートではなく、共有の仕組みの中にある
このため、後任者は前任者から詳しい説明を受けなくても、システムを見れば大まかな流れを把握でき、確認すべき点だけを短時間ですり合わせれば業務に入れます。
引き継ぎ短縮のための最初の一歩
すべての業務を一度に仕組み化する必要はありません。まずは、退職や異動があると特に困る業務、つまり特定の担当者に依存している業務を洗い出すことから始めるとよいでしょう。
その上で、その業務のどの部分が「頭の中にしかない情報」なのかを特定し、システムやフォーマットに残す形に変えていきます。小さな範囲からでも仕組み化を進めておくことで、次に異動や退職が発生したときの負担は確実に軽くなります。
引き継ぎにかかる期間の差は、個人の能力ではなく、業務が仕組みとして残っているかどうかで決まります。属人化した業務を少しずつでもシステム上に見える形にしておくことが、将来の急な人員変動への備えになります。