DX 既製品では合わない業務、オーダーメイド開発を検討すべきタイミング
既製品では業務の一部がどうしても合わない、という経験をしたことはないでしょうか。パッケージソフトやクラウドサービスは低コストで導入でき、多くの企業に使われているという実績と安心感もあります。しかし自社の業務をその型に無理やり合わせようとすると、かえって現場の負担が増え、非効率になってしまうこともあります。今回は、既製品では対応しきれず、オーダーメイド(自社専用)開発を検討すべきタイミングについて考えます。
「業務をシステムに合わせる」ことの限界
パッケージソフトやクラウドサービスは、多くの企業に共通する業務フローを想定してつくられています。そのため導入時には、自社の業務手順をソフトの仕様に合わせて変更する場面が出てきます。多くの場合はこれで問題ありませんが、自社独自の商習慣や、取引先ごとに異なる請求ルール、複雑な承認フローなどがある場合、無理に合わせようとすることで入力の手間や例外対応が増え、結果的に一部の業務だけExcelや紙に逆戻りしてしまうことがあります。「せっかく導入したのに現場が使わない」という失敗の多くは、実はこの『合わない部分』への対処が不十分なまま進めてしまったことに原因があります。既製品を否定する必要はありませんが、自社の業務のどこが標準的な型からはみ出しているのかを、導入前にできる範囲で把握しておくことが、後々の手戻りを防ぐことにつながります。
オーダーメイド開発を検討すべき3つのサイン
以下のようなサインが複数当てはまる場合、既製品への追加投資や現場での運用の工夫を続けるよりも、自社専用のシステムを検討したほうが、長期的にはコストと業務効率の両面で有利になることがあります。
- 既製品のカスタマイズ機能や設定変更だけでは、自社の業務フローを再現できない
- Excelや紙、複数のツールを組み合わせた「つぎはぎ運用」が慢性化しており、二重入力や転記ミスが起きている
- 取引先や商品構成に独自性が強く、標準機能では業務の一部にしか対応できていない
こうした状態を放置すると、担当者の負担が増えるだけでなく、対応方法が特定の人しかわからない属人化にもつながりやすくなります。当てはまる項目が多いほど、既製品での運用を工夫で乗り切ろうとする限界に近づいているサインだといえます。
オーダーメイドは「大きく作る」ことではない
オーダーメイド開発と聞くと、大規模で高額なシステムを思い浮かべるかもしれませんが、実際には業務の一部分だけに絞って小さく始めることも可能です。たとえば受発注管理だけ、勤怠管理だけといった形で、最も負担の大きい業務プロセスを一つ選び、そこだけを専用システム化する。そうすることで投資額を抑えながら効果を検証し、手応えを確認したうえで対象範囲を広げていくという進め方ができます。パッケージソフトとオーダーメイドは対立する選択肢ではなく、業務ごとに使い分けるという発想も有効です。既製品で十分な業務は既製品のまま使い続け、合わない業務だけを専用化するという組み合わせ方も、現実的な選択肢のひとつです。
パッケージソフトかオーダーメイドか、という二者択一で考える必要はありません。大切なのは、自社の業務のどの部分にどちらが向いているかを見極めることです。既製品でうまくいかない業務があるなら、それは無理をして使い続けるサインかもしれません。まずは現状の業務のどこに無理が生じているか、どの作業に最も時間や手間がかかっているかを整理するところから始めてみてはいかがでしょうか。