DX 卸売業の受発注業務をデジタル化する、電話・FAXからの脱却の進め方

卸売業の現場では、いまも電話・FAX・紙の伝票による受発注が数多く残っています。取引先ごとに異なるやり取りの仕方、転記ミスによる欠品・誤出荷、担当者不在時の対応の属人化など、日々の業務に潜むコストは小さくありません。本記事では、卸売業の受発注業務をデジタル化する際の考え方と、無理なく進めるためのステップを解説します。

電話・FAX中心の受発注が抱える見えにくいコスト

卸売業の受発注は、長年の取引慣行から電話・FAXが主な手段になっている企業が少なくありません。担当者が注文内容を聞き取り、手作業で伝票や在庫システムに転記する。この工程には、聞き間違いや入力ミスによる誤出荷・欠品のリスクが常に伴います。

また、注文を受けられるのが特定の担当者に限られていると、その人が休みや外出のときに対応が滞り、機会損失につながることもあります。ミスの修正や問い合わせ対応にかかる時間も、積み重なれば決して小さなコストではありません。

受発注のデジタル化は、全部を一度に変える必要はない

「受発注のデジタル化」と聞くと、大がかりなシステム刷新をイメージされる経営者も多いですが、実際には取引先や商材の特性に応じて、部分的に始めることができます。

  • 発注頻度の高い取引先から、専用の発注フォーム(Web・アプリ)を導入する
  • 既存の在庫・受注管理システムとFAX・電話注文の内容を連携させ、二重入力をなくす
  • 取引先システムとのEDI連携を、対応可能な相手先から段階的に広げる
  • 定型的な注文はテンプレート化し、確認作業を減らす

取引先との関係を保ちながら移行を進めるために

卸売業の受発注は、取引先との長年の関係の上に成り立っています。デジタル化を進める際は、すべての取引先に一律の方法を強制するのではなく、移行しやすい取引先から段階的に案内し、電話・FAXを使い続けたい取引先には従来の窓口も並行して残すといった配慮が欠かせません。

急激な変更で取引先に負担をかけてしまうと、かえって関係を損なうことにもなりかねません。小さな成功事例を社内外に共有しながら、無理のないペースで対象を広げていくことが、結果的に定着への近道になります。


受発注業務のデジタル化は、卸売業にとって転記ミスや属人化、機会損失といった日々のコストを減らす有効な手段です。全面的なシステム刷新を目指す必要はなく、発注頻度の高い取引先や定型的な注文から、できるところから始めることが現実的な一歩になります。

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